効率的な電力供給が可能なスマートグリッドとは?仕組みから現状課題・導入メリットのご紹介!

皆さん、こんにちは。

茨城県鉾田市を拠点に電気工事を手掛けております平沼電設です。


最近はニュースでも「スマートグリッド」という言葉を聞くようになりました。

この「スマートグリッド」とは、実用化が進められている次世代のエネルギー供給網のこと。

節電や停電防止対策になるだけでなく、多くの施設や工場で取り入れられている太陽光発電ともかかわりが深いものです。


太陽光発電に関しても、昔はじめて聞いた時はどこか夢物語のようで、ここまで普及するとは思わなかった……という方もいらっしゃることでしょう。それがいまや破竹の勢いで導入が進み、当たり前のエネルギー源となりました。


「スマートグリッド」も同様で、いずれ一気にブレイクすることが見込まれます。そんな時に備えて最低限の知識は知っておきたいですよね。

今回は「スマートグリッド」の仕組みや現状の課題、将来像などについて解説します。




■スマートグリッドとは?知っておきたい基本の知識



まずはそもそもスマートグリッドとは何なのか、知っておきたい基礎知識を紹介します。



・賢い電力網=スマートグリッド


スマートグリッド(Smart Grid)を直訳すると、賢い電力網、という意味になりますが、日本では「次世代送配電網」を示します。

「次世代送配電網」というのは、情報通信技術(ICT)を活用して、あらゆる電力の流れを需要側・供給側が連携して監視・制御し、さらに最適化する電力網のことを意味します。


今迎えつつある脱炭素社会では再エネ電力は欠かせない存在になり、実際に欧米では、積極的な取り組みがなされています。すでに欧米で新しい潮流となっているのが、再エネの「追加性」。その再エネ電力を購入することが、再エネの普及拡大に寄与するとして、今後は日本でも普及していくと考えられています。


さて、太陽光発電もそんな再エネの一つですが、天候に左右されるため安定供給が難しいというデメリットがあります。そこをスマートグリッドは補うべくICTを活用して電力需要をリアルタイムで把握、そして効率的な電力利用を促すというものです。

実際に住宅や工場、事務所では「HEMS(Home Energy Management System)」や「スマートメーター」というスマートグリッドがすでに導入されています。



・なぜ効率的な電力供給に意味がある?


スマートグリッドでは、消費電力情報と、電力会社からの電力抑制指示を双方向で送受信できます。

したがって、電力会社は企業や家庭で電気の消費量が減ったというデータを受け取ると、それに合わせて電力消費量を抑えることにより、過剰な発電を防ぐことができるのです。

そして余剰電力をほかのニーズに回す調整も可能。このように需要・供給のバランスをムダなく保てるため、節電や停電防止のメリットもあるのです。




■スマートグリッドの仕組みはどうなっている?


スマートグリッドの運用で必須なものが、通信機能をもつ電力計測器「スマートメーター」です。これを住宅や事務所、工場に設置することで、電力の使用量・発電量、売電量などをリアルタイムで計測でき、電力の「見える化」を実現できます。


そして「見える化」されたデータはエネルギー管理システム「HEMS」に送られ、最適化されるという仕組み。ですので電力が1日のうちでもっとも使われそうな需要ピークを予想して蓄電池を解放したり、使わない時間帯の余剰電力を蓄電に回したりすることも可能です。





■スマートグリッドの懸念点とは?



そんな便利なスマートグリッドですが、現状ではいくつかの課題もあります。



・電力供給システムへのサイバー攻撃


スマートグリッドは電力網の構築にネットワークやコンピュータを使うので、電力供給システムがサイバー攻撃の標的となってしまうと甚大な被害を招きかねません。国際規模のたとえになりますが、実際にウクライナではマルウェア「インダストロイヤー」が電力会社のシステムに入り込み、大規模停電が発生しました。


グローバルな電力事業会社を対象にしたアンケートでは、サイバー攻撃への対策が万全と回答したのは、全体の48%。サイバー攻撃に備えた体制づくりが求められています。



・導入コストがかかる


スマートグリッドを稼働させるためには、多くの家庭やオフィスにスマートメーターを設置することが大前提。そのための費用と手間の発生が現在の課題と言われています。

まず、スタンダードなスマートメーター本体の単価は1万円ほどなので、1万世帯に導入するとなると、約1億円かかります。

茨城県なら約120万世帯なので、120億円かかるという計算になります。

さらに設置のためには人件費やメンテナンスなど運用費用もかかります。


設置費用は電力会社の負担であり、利用者に負担がかかるわけではないのですが、その電力会社が舵を切れるかということ。電力会社と国、自治体が連携して議論していくことになるでしょう。

ただしそのハードルを超えても、再エネ普及のためには、スマートグリッドの導入に進む未来予想図が描かれています。




■スマートグリッドの導入からスマートシティへ



国は少子高齢化や脱炭素への対策として、ICTやAIなどの先端技術を駆使して、都市インフラや施設運営を最適化する、持続可能な環境配慮型都市・スマートシティ構想を描いています。

そしてスマートシティの核となるのがスマートグリッド。エネルギーや交通、通信などのインフラを最適化すべく、都市エネルギー管理の中枢を担うのです。


特に日本におけるスマートグリッドは、独自の地理・気候条件を考慮しながら、再生可能エネルギーの利用拡大と電力網の最適化にフォーカスして、開発や実証実験が進んでいます。たとえば日本は国土の3分の2が森で、平坦な敷地が少ないのが特徴。環境大国ドイツと比較すると、国土の面積はほぼ変わらないのに、ドイツは平地の割合が日本の2倍もあるのです。


いずれにせよこうした諸条件を鑑みて日本のスマートグリッド技術は開発されており、さらに太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー源と、効率的な統合が進められつつあります。

また、地域単位で再エネなどの分散型電源を活用してエネルギーの地産地消を行い、災害時の電力供給に備える「マイクログリッド」の構築も進んでいます。


スマートグリッドの実証実験は日本各地で進められています。

富士通が福島県伊達市で行った実証実験では、市内の45にのぼる公共施設や小中学校に富士通のEnetune-BEMSを導入。電気使用状況の「見える化」や太陽光発電のような再生可能エネルギー設備の監視制御をサポートしました。施設のなかには、例年に比べて50%以上、使用電力を削減できたケースも報告されています。


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遠いようで実はすぐそこまで来ているかもしれない、スマートグリッドの導入。多くの施設にとってメリットがあるだけに、今後の動向に注目したいところです。


茨城県鉾田市を拠点とし、豊富な実績を持つ平沼電設は、エネルギー関連の最新情報に精通。長期的なビジョンを見据えたご提案が可能です。実際の工事においても、着工前の打ち合わせから施工プランのご提案、設計、施工、そしてメンテナンスや修繕工事に至るまで、すべての工程をワンストップで対応します。お客様のニーズに合わせた最適な提案で、事業の継続性を高めるサポートをいたします。


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