キュービクルとは?キュービクルの基礎知識や内部構造を解説

皆さん、こんにちは。

茨城県鉾田市を拠点に電気工事を手掛けております平沼電設です。


皆さんは、工場の敷地内やビルの屋上などで、大きな金属の箱に収められた機械を見たことはありませんか? これは「キュービクル」といい、多くの電力を消費する工場やオフィスビルなどにおいては、必要不可欠といっていい設備なのです。ここでは、キュービクルの役割や内部構造について解説します。




■キュービクルとは?


キュービクルは、発電所から送られてくる電気を受け取って変圧・配電するための設備です。発電所から送られてくる6,600V(ボルト)の高圧電力を受電し、100Vや200Vに変圧した上で施設内の各所に配電します。正式名称は「キュービクル式高圧受電設備」といい、JIS規格では「キュービクル式高圧受電設備(JIS C 4620)」として定められています。


なお、キュービクル(Cubicle)という名称は、「立方体」という意味のキューブ(Cube)から派生した言葉です。「小屋」「箱」「小さく区切った空間」といった意味もあり、実際にキュービクルは金属の箱を入れ物とし、内部にはさまざまな機器が収納されています。




■電力の契約方式とキュービクルの役割



キュービクルは、どのような施設にも必ず設置されるわけではありません。必要かどうかを決めるのは、電気を利用する際に電力会社と結ぶ契約の内容です。


受電契約には、大きく分けて「高圧受電契約」と「低圧受電契約」があります。目安としては、使用電力が50kW以上なら高圧受電契約、50kW以下なら低圧受電契約になります。つまり、電気をたくさん使う大規模な建物なら高圧受電契約に、一般住宅や個人商店といった小規模な建物なら低圧受電契約になるのです。


そしてキュービクルは、高圧受電をしている施設に設置されます。高圧受電は低圧受電に比べて電気料金が安いのがメリットですが、6,600Vという高電圧の状態で送られてくるため、そのままでは使用できません。キュービクルはこの高圧の電気を、一般的な電気機器に使われる100Vや200Vまで変圧し、施設内の各所へ配電する役割を担っています。


一方、低圧受電の場合は、電力会社が管理する変圧器で100V・200Vに下げられるため、キュービクルは必要ありません。こういった性質から、高圧受電をするのは工場・ビル・商業施設・マンションといった大規模な建物が中心であり、これらの建物にはキュービクルが設置されているのです。




■キュービクルの内部構造



キュービクルは単一の機械ではなく、さまざまな機器を組み合わせて構成されています。特に重要な機器としては以下の4つが挙げられます。



・トランス(変圧器)

電圧を上げたり下げたりするための機器です。キュービクルの設置目的は電圧の調整ですから、トランスは最も重要な機器といえます。


・電圧計、電流計

キュービクルに流れ込む電気を計測し、電圧や直流電流・交流電流の値をメーターに表示する機器です。電圧は変換後である100V・200Vに近い数値を示すのが正常です。電流はある程度振れ幅があり、電気の使用状況によって数値が異なります。各メーターが明らかに異常な数値を示している場合は、故障や漏電を疑う必要があります。


・計器用変圧器

トランスの一種で、交流高電圧の測定に用いられる機器です。交流回路の高電圧・大電流な電気を、制御回路に使用しやすい低電圧・小電流な電気(110V・5A)へと変換します。電力用トランスと異なり、施設内に電気を流すための機器ではないので小容量です。また、測定誤差を小さくするための工夫が施されています。


・高圧進相コンデンサ

供給された電力のロスを減らすための機器です。電線の高圧電力をそのままキュービクルに取り込んで100Vや200Vに降圧すると、その過程で多くのロスが発生してしまいます。これをなるべく防ぎ無駄なく電力を利用するため、高圧進相コンデンサを組み込んで効率を高めています。


その他にも、区分開閉器、断路器、遮断器、保護継電器、制御装置、低圧配電設備など、多くの機器が組み込まれています。これらを金属の箱に一括で収容したパッケージ製品こそが「キュービクル式」の受変電設備なのです。


この複雑な構造からもわかるように、キュービクルの設置は決して誰にでもできる作業ではなく、専門的な知識と技術力が必要な仕事です。そもそも、「第一種電気工事士」の資格を持った人でなければ、キュービクルの設置作業を行うことはできません。安全に電気を使えるようにするためにも、キュービクルの設置は高い技術力や豊富な実績がある業者に依頼しましょう。


平沼電設では茨城県鉾田市を拠点に、関東圏内における工場やビルの受変電設備の設置から配線工事、メンテナンス、その他電気工事まで幅広く請け負っております。長年の実績と安全第一の施工管理で質の高いメンテナンスをお約束し、状況によっては設備の修繕も行います。電気設備に関して少しでも気になる点や困ったことがあれば、お気軽にご相談ください。