PASは定期的なメンテナンスが必須です!経年劣化によるリスクと交換時期を解説

皆さん、こんにちは。

茨城県鉾田市を拠点に電気工事を手掛けております平沼電設です。


前回の記事では、UGS(地中線用負荷開閉器)の役割をご紹介しました。UGSは施設内のキャビネットに設置され、波及事故防止に役立つ設備ですが、同じ役割を電柱の上で担っているのがPAS(Pole mounted Air Insulatated Switch、気中負荷開閉器)です。ここでは、PASの役割や交換時期について解説します。




■PAS(気中負荷開閉器)とは?



PAS(気中負荷開閉器)はUGSと同じく、高圧受電をしている施設での波及事故を防止するための設備です。電気系統の短絡(ショート)や地絡・漏電が発生した際、電気の流れを遮断することで、他の施設や設備に事故が拡大するのを防いでくれます。


2つの設備の違いは、UGSが地中に配線して電気を引く「地中引込方式」に対応しているのに対し、PASは電柱を使って電気を引く「架空引込方式」に対応していることです。そのため、PASは電柱のある地域で使われ、電柱の上部に設置されています。使い分けは必要ですが、どちらも基本的な役割は同じです。


実際のところ、施設のトラブルが原因で発生する波及事故の9割は、電力会社ではなく電力を受け取る側(事業所など)で発生しているとされています。そして多くの場合、事故の原因は地絡なのです。


こういった事情から、架空引込方式を採用している施設では、地絡を検出できるGR付PAS(Ground Relay付PAS、地絡継電装置付高圧気中負荷開閉器)の設置が推奨されています。軽度の地絡事故が原因で大規模な被害を出してしまうのを防ぐためにも、GR付PASの設置は必須といっていいでしょう。


なお、PASはあくまでも開閉器なので、事故を検知して作動するためには「SOG動作機能」と一緒に設置する必要があります。SOGについては、次回以降の記事で詳しく解説します。




■PASがない、または経年劣化した時に起こりえる事故とは?



PASを使用する場合、経年劣化による機能不全に注意する必要があります。PASは電柱の上部や屋根といった屋外に設置されているため、常に風雨や紫外線にさらされており、経年劣化が進行しやすい装置です。特にサビが発生しやすく、サビた箇所に小さな穴がいくつも空き、そこから雨水が浸入して絶縁不良が起きることがしばしばあります。


こうなると、事故が発生してもPASが正常に作動せず、波及事故を防ぐことができません。つまり、PASを設置していないのと同じ状態になってしまうのです。また、外見上は特に問題なさそうでも、実際は見えない部分にサビやパッキンの劣化が発生しており、絶縁不良や動作不良につながっているケースが少なくありません。


そのため、たとえ外見や動作に問題がなくてもPASは定期的に点検し、必要に応じて修理や交換を行うのが望ましいのです。適切なメンテナンスを行えば、事故発生時にもPASを確実に作動させ、他の施設に波及するのを防ぐことができます。




■PASの交換時期はいつ頃?



設置されている環境にもよりますが、PASの交換時期の目安は設置してから10年〜15年程度です。可能であれば新しいものに交換し、もし交換が難しいのであれば、点検を徹底しなければなりません。


点検のタイミングの目安は、交換時期が到来していない場合だと、3年に1回程度です。交換時期が過ぎているのであれば、1年に1回は点検する必要があります。もちろん、明らかな外見上・動作上の問題が見られたら、時期に関係なくメンテナンスを実施するべきでしょう。


意識しておきたいのは、PASは普及が始まってから30年ほど経過しているということです。初期に設置されたものをはじめ、すでに耐用年数を過ぎているものが相当数あると考えられます。自社が管理しているPASがあるなら、設置された時期を必ず確認しておきましょう。



平沼電設では茨城県鉾田市を拠点に、関東圏内における工場やビルの受変電設備の設置から配線工事やメンテナンス、その他電気工事を請け負っております。長年の実績と安全第一の施工管理で、質の高いメンテナンス、場合によっては修繕をお約束します。電気設備に関して少しでも困ったことがあれば、お気軽にご相談ください。